霧社蜜香烏龍/紅韻

素晴らしい茶を淹れた。
古法炭焙 霧社 蜜香烏龍 紅韻/2011年

悲しみの地で、
傷みを受けたはずの茶葉は、...
優しく微笑む観音様のように、
明るく光をもって、我が家で眠っていた。

台湾原住民の抗日運動「霧社事件」を調べる機会があり、霧社の地を感じ取りたくて、眠らせていたこのお茶を開封した。
悲しみの場所、、なんて気配は全くなく、濃霧の山で育つ明るく生き生きとした拓かれた味の茶だった。
きっと紅韻品種の特徴もあるのだろう。柑橘のはじけた香りと蜂蜜のような甘みがそう感じさせてくれている部分もあるのかもしれない。
私がこのお茶から感じ取れたのは“虹”の風景。いくつもの色を淡く重ね合わせて、大きく、遠くに弧を伸ばす。霧が晴れた後に見えた世界にかかる虹。

この地に住んでいた原住民のセデック族の間では、命かけて生きた者は死後に“虹の橋”を渡れる。という伝説があるという。
この茶はその言い伝えの通りの風景を見せてくれた。

虹の郷、霧社に今とても行きたい。
肌で感じてまたこのお茶を淹れたい。