いにしえの茶壺

肌寒い台湾。
龍眼樹の炭で湯を沸かし、茶の稽古。
「本物には良い剣を持たせないとね。」
老師が30年連れ添ってきた文革以前の一つの老朱泥の茶壺を引継ぎました。
いつも明るい老師が娘を嫁がせるような少し切なげな目をしていて、胸が締め付けられました。
...
「僕が40年間かけて淹れてきた茶を、5年で珮如に教える。」と言っていた老師は本当に伝え始めたのだと感じて、心が震えました。

この茶壺の扱いについていくつかの説明も受けました。
寒い日は壺をお湯に浸してから、使う事。寒暖の差が激しい環境で扱うと割れてしまうのだそう。
それから、誰にでも見せるものではない事。
「珮如のお茶を心から飲む人とだけこの茶壺で淹れなさい」との事。

今日はこの茶壺で老師と茶を淹れ合いました。