2013年

12月

12日

天目の黒

「天目碗の黒の中に何を見出せると思う?」

いつも茶葉を買付に行く老師との会話。
茶畑管理から製茶、販売までの全工程を一貫して自ら行う老師。茶ならここ。と様々な茶を飲んで辿り着いた方。茶への哲学と深い愛はその茶を飲めばわかる。茶のみならず学問にも長けている方。
茶人なら古典をちゃんと学びなさい。という老師は毎回お茶を飲みながら色々を教えてくれる。
今回は茶会の開き方から始まって、...
日本の茶道の事や
伝統文化とは何を言うのかや、
無の境地とはどういう事か、
あらゆる事を問われながら話ししてくれた。

「唐宋代の人たちは天目碗の黒い釉の碗の中に何を見出していたと思う?」という問い。

「茶湯の美しさ?」

「無中生有 茶無杯有 這就說“包滿”」

黒い釉の中の茶湯は何色に見える?
黒くしか見えない。
茶が無になる。
無の中から有に気がつくんだ。
昔は緑茶の葉を落として飲んでいたから黒い湯の中に浮かぶ緑の葉のなんと美しい事かを知っていただろうね。茶湯に惑わさせずに心で茶を飲んでいた。
無の中の有が生まれた時に
心は満たされる。

老師の作る今年冬の茶は、
滑らかで穏やかで、太い生命力を感じるいい出来だった。